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カヤックの事故について(2016)

新年最初のエントリーはとても悲しいお知らせです。

この記事を書くことは悩みましたが、同じような事故を減らすためにも敢えて皆様に伝えたいと思います。 

 

 

漕ぎ仲間の1人が昨年大晦日の午後14時頃、ダウンリバー中に事故に遭い亡くなりました。

事故現場は小歩危、曲り戸の瀬の中段にあるホール(通称:奈落)です。

当日は完全なストッパーとなっていたとのことで、5分近く拘束されたようです。

他にも十数名のうち4名が沈脱されたとのことなので、捕まったら沈脱しないと脱出不能な状況だったようです。

 

当時の水量は大豊1.22m前後・下名2.53m前後・池田ダム流入量127トンとこの時期としてはかなり多めでした。

原因はあくまで憶測ですが、スプレースカートが外れていなかったことから脱出を試みるためにスプレースカートを引こうと思った時点で引くだけの体力が残されていなかったか、何らかの要因で意識を失っていた可能性があります。

 

私はたまたま前日に彼女の勤務しているショップで会っており、明日のダウンリバーの件や新しいカヤックを注文していて来るのが楽しみだという話、そして来年は大歩危のラフティングガイドを目指している話をしました。

そして川の話をしている彼女は心底楽しそうでした。

本当に川が好きだったんだと思います。

私は明日は仕事の為参加できないので来年また漕ぐ約束をして笑顔でお別れしました・・・。

 

今日は初漕ぎは中止して集まった仲間と一緒に川が大好きだった彼女にお別れをしてきました。

 

[peg-image src=”https://lh3.googleusercontent.com/-5tDqGZlNE0Y/WGx02k_EeqI/AAAAAAABGcE/2n9bOmm7jhscdgKXLP7S8goC6PJC8KjjgCCo/s144-o/IMG_2075-PANO.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/111060605559551936871/6281500659430312705#6371596053812378274″ caption=”” type=”image” alt=”IMG_2075-PANO.jpg” image_size=”6039×1055″ ]

こちらは本日撮影した曲がり戸の瀬の全景です。

 

私がカヤックを始めたのは2014年5月。

その時点では大歩危小歩危においてカヤックでの死亡事故は前例がありませんでした。

 

2015年には同時期に漕ぎ始めた方が大滝の瀬で亡くなりました。

そして今回の曲がり戸の瀬での事故。

私も小歩危を下ることを最終目標としていましたが、いまだこの2つの瀬だけは未漕区間です。

小歩危の中でも最も難易度が高く、危険な瀬です。

私の師匠も隊長もこの区間はまだ漕がせてはくれません。

ベテランの二人には私の能力ではこの区間はまだ早いということを十分わかっているんだと思います。

小歩危に連れてってくれないことを恨んだこともありますが、今はとても感謝しています。

 

仲間の中には小歩危で脱臼、骨折、顔面流血など怪我をした方も多数います。

死亡事故には至りませんでしたが、ピンニングやアンダーカットで危険な状態に陥ったが、好条件が重なり救助できたケースもあります。

もう二度と小歩危は漕がないという方もいますし、大歩危は十数年漕いでいるが小歩危は一度も漕いでいない方もいます。

彼らは本能で小歩危は自分の限界を越えていると感じているんだと思います。

 

これから小歩危を下ろうと考えている方はこれらの事故を知った上で入念な練習と準備をして挑んでいただけると幸いです。

 

くれぐれも

 

小歩危全部の瀬で(沈脱して)泳いだ人だっているんだから沈したら流されればいい

これまで出なかったことがないしホールに捕まったら沈脱すればいい

 

・・・などと甘い考えで挑まないで下さい。

今まで助かったのはたまたま運が良かっただけかもしれません。

小歩危を漕ぐ機会は作ろうと思えばいくらでもありますが命は一度失ったらそれで終わりです。

 

この2つの事故には1つの共通点があります。

それはお二人とも若くて心底大歩危小歩危に夢中でした。

休みとなれば季節・天候・水量を問わず漕いでいました。

その若さゆえに多少無茶をしているようにも感じられました。

 

夢中なときこそあえて我慢して1ランク下のステージで鍛錬を積むことが大事です。

私は幸いその事を教えてくれる師匠やメンバーに巡り会えたおかげでこうしてコツコツと安全に漕げていると思います。

 

改めて彼女との前日の会話を思いだしました。

明日はこの水温だからできれば沈脱は避けたいと言っていました。

でもギリギリまで沈脱を避けてしまったことが結果として最悪の自体をまねいてしまったのかもしれません。

師匠曰く「スプレースカートを引かない勇気も大事ですが、思い切って引く勇気も大事」

禅問答のようですがこの境界を身につけることが大切だと改めて感じました。

 

皆様の安全なカヤックライフを願っています。

 

そして心からご冥福をお祈りいたします。

うじ:

View Comments (4)

  • こんにちは、今日はガレージセールありがとうございました!

    うじさんのカヤックブログ、すみません!何気に最近はフェイスブックばかりで、
    人のブログを見るのが減っていたので、久々に覗かせてもらいました!

    小歩危の事故のあったカヤッカーさん知り合いだったんですね、、

    小歩危はホントに怖いです。私も本能的に行くの辞めてしまいましたよ、
    私に何かあったら家族が可哀想だから、、
    なので、私は早明浦下から大歩危の手前までのSUPが自分の技量に1番あってる気がします。
    その前に鮎突きね(笑)

    このブログ!私の小歩危への感覚とホントにおんなじです。でもたまにネットで安く買ったダッキーで大歩危小歩危行ってみようかなとかいう人に出会うんですよ、、
    なので、このブログ、私のブログで紹介させて下さいな m(_ _)m
    みんなに安全に遊んでもらいたいですよね、、

    そんな話を今日はできてよかったです!また是非キャンプでゆっくりお喋りしましょう!

    • こんにちは、こちらこそガレージセールで大変高価なものをいただきありがとうございました。

      書くのをためらう内容であったのですが、カヤックの事故について書かれている記事というのは実際検索してもあまり多くありません。
      自分が活動している大歩危小歩危においてこれまでの事例などをまとめ、今後カヤックを始めていく方々に1人でも多くの方々に知ってもらい事故を減らしていくことが自分に出来ることかなと思い投稿しました。

      今年こそキャンプでお会いできるのを楽しみにしておりますね!

  • はじめまして
    ネットの海を操行していて偶然流れ着きました
    2017年の川もシーズンインしたのでわたくしも愛艇の
    シート改造にいそしんでおります
    スプレーを引かない勇気、引く勇気、ホント難しいですね
    慣れが油断を生まないように心引き締めたいと思います
    お亡くなりになったご友人の方にはご冥福をお祈りいたします

    • C1乗りさま
      はじめまして。
      すいません、最近SPAMコメントが多く気がついておりませんでした。
      それまではスプレースカートは絶対引いてはいけないと思っていましたが今回の事故で深く考え直すきっかけとなりました。
      お互い安全なカヌーライフを過ごしましょう。